アカデミーでのショーン・ペンのスピーチに心を動かされ、楽しみで仕方なかったガス・ヴァン・サント「MILK」を見に行って参りました。
しかもなんと2回!(以降ちょっとだけねたばれあり。でもよんでも大丈夫)
1回目をみたときは、あまりハーヴィー・ミルクに感情移入できなくて、彼を囲む周りの人々に共感を得てしまった感じ。
ムーブメント的にはやっぱ人間っていつまでたっても同じような事で、 繰り返し戦い続けるんだっていう分かりやすい図式を見た感じで、人間の愚かさ、無意味な壁、まざまざと考えさせられました。
人間の尊厳を無視されるゲイというマイノリティ、いいかえればゲイというだけの理由での差別。そこに立ち向かうミルク先輩には、尊敬と同時に、若干の「先輩!もうわたし着いていけません!」感を感じてました。
ムーブメントが大きくなるにつれての政治的な思考や行動、僕がいつもなぜか思ってしまう正しい事を盲目的に行う人にいつも感じてしまう第三者的な距離感。いくら同じゲイとはいえ、今の日本に住んでいて共感のレベルがシンクロするのはかなり無理があるし、ミルク先輩、立派だな。しかも切ないな。やっぱ感動するけどいまいちしっくりこないな。。ほろりという感じ。
で、今回2回目をみて、ストーリーが分かっていたのでもう最初からミルク先輩にシンクロしまくり。ムーブメントつうより完全にミルク先輩目線。
40を過ぎてからの最初の恋人、スコット。彼がいたから、何かを変えようと思えた事。でもその事によって二人は幸せにはなれなかった。好きな人によって自分を変えられた奇跡により、その先に待っていたのは恋人ではない別の関係になってしまう二人。人生の残酷さ。
スコットを失い次の彼氏を速攻ゲット。さすがオカマとか思ってたけど、そうじゃない。満たされない何かを早々に気がついていながらも、誰かの支えがなければ耐えられない人の弱さ。そして無理をしたために招いてしまう、その代償としての悲しすぎる別れ。
どんなにつらい時でもユーモアを忘れない人としての余裕と賢さ。
車椅子の子からの最初の電話のシーンでの優しさと愛。
最期にオペラ座での「トスカ」をみた後にスコットに電話してしまう朝方の美しいシーン。恋人時代以上の愛を感じさせる切ない時間。
暗殺された窓越しにみえるトスカの垂れ幕。自分を重ね合わせると同時にスコットの事が頭をよぎったのかもしれない。
多くのものを失い、多くのものを得た、悔いはないだろうという人生を見せていただきました。
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